こわいはなし。京都・清滝トンネル編。

オカルト

8月。夏の終わりに・・・納涼怪談小話をひとつ。
これは筆者の実録体験。ノンフィクションです。

こわさ ★☆☆☆☆
現実度 ★★★☆☆

大学3回生か4回生か、いつぞやの頃。

当時、私は京都の某大学に通う学生で__京都の学生であれば、清滝というワードは度々耳にするのですが__オカルトに興味のあった身としては、是非一度足を運ぼうと意気込んでいたのでした。

たまたま友人たちと心霊スポットに行かないかと盛り上がり、そのまま勢いで行くことになったのです。私には断る理由もなく、思ってもない幸運でした。やはり、一人で行くのは少し憚られましたから。

バイクを走らせ、下宿先から30分ほどでしょうか。あっという間に清滝トンネルに辿り着きました。大学が京都の北部の方でしたので、周辺の山々は案外近いのです。

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ところで、京都は盆地であり、夏は暑く、冬は寒いことで有名なんですが・・・。そうは言っても、清滝のあたりまで来ると案外涼しいものです。このあたりはトロッコで有名な保津峡や、ハイキングにうってつけの愛宕山など、観光地も揃っています。

ただ、京都北西部・・・すなわち化野(あだしの)といえば、古代京都は平安の頃、風葬の地でありました。京都の冥界と形容されるほどの土地でもあるのです。清滝トンネルは、まさに「そこ」にあります。

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別に昼間であれば、他愛もないのでしょうけれども。夜の山々ですから、覚悟はしておりましたが、なかなかの雰囲気を放っているのでした。トンネルの怪しい色づきは、遠目で見ている私たちを誘っているかのようで。

時間が時間ですから、特に地元の方も走っている訳ではなく、また、先客もいないようでした。意を決してトンネルへ進むと、存外その中は明るく、バイクで走っているためか、その駆動音はごうごうと鳴り響いていました。

トンネルを抜けたら、今度は峠道へ。 「意外と大したことないな」と三人で少し談笑したのち、早速峠道へとマシンを走らせるのでした。

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峠道といっても、距離としては本当に短いものであり、あっという間に抜けてしまったのです。しかし緊張のせいなのか、はたまた何か他の理由なのか、私は件のミラーに全く気づくことなく、通り過ぎてしまったのでした。

「ミラー?あったで」
「戻って見てきたら?」
そんな友人たちとのやり取りの中、私は若干の気味悪さも感じながら、一人、峠道を戻ることにしたのです。

冷静になって考えれば、この判断はあまりよくありませんでした。今になって思えば、ですが。

峠道はなかなかの急勾配です。パワーの弱い、私のバイクでは上がるのも一苦労でした。一速から二速で、何とかノロノロと上がりながら、例のミラーはどこかと探します。

・・・時間は掛かりませんでした。ふと闇夜を仰いだとき、「それ」はあったのです。
この地の下馬評こそ数ありますが、あのとき背中に感じたぞっとする寒気を忘れられません。

・・・なぜ最初に気づかなかったのか? 

まるで待ち構えるかのように、下向きのミラーは確かに、聳え立っていたのです。
そう、私は、ずっと「覗かれて」いたのです。

友人たちと合流して、そのまま皆、家路につきました。別に、帰りの道中は何も起きていません。ただ・・・最後にふと私は気づいてしまったのです。

あれ、逆走じゃね?
対向車来てたら正面衝突じゃね?

おあとがよろしいようで。

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