霊地恐山の呼び声。

何年か前に、休暇を取って恐山へ旅行したことがある。恐山とは、青森北部にある霊地である。

東北観光といえば、宮城・仙台が真っ先に挙がると思うが、あえて青森・恐山を提唱してみたい。

ただし関西からだと・・・結構遠いので心づもりを。

恐山といえば

この写真は・・・実はグレースケールに加工しているのではない。無加工なのだ!

恐山といえばイタコである。彼女たちは、あの世の霊を呼び出し、自身に憑依させる。これを口寄せという。そうすることで、この世に残る者は死者と対話ができる訳だ。その真偽を語るつもりはないが。

文献としては、1772年の『平山日記』にて、「巫女(イタコ)」と出てくるのが初出だそうだ。

もともと、この地はウソリと呼ばれていた。アイヌ語の usor が元と・・・という説もあるが、諸説あるようだ。入り江や湾という意味である。

いわゆる「口寄せ」が有名になったのは、昭和30~40年代であり、新聞・テレビ・ラジオの普及が大きい。そして、恐山の観光地化。勿論、それは交通網の整備が進んだおかげでもある。ただ何分、やはりメディアの力は今も昔も大きいことは間違いないだろう。

ところで、イタコたちは恐山大祭のときにしか姿を現さない。当然、参拝客も祭のときに、ぐっと増える。

恐山と山岳信仰に関しては、鈴木正崇の『山岳信仰 日本文化の根底を探る』を参考にしていただきたい。

北から向かうか、南から向かうか

旅行客が恐山に向かうには、いくつか方法がある。飛行機、電車、バス、自家用車 etc。
私の場合、以下、【函館より南下】を選んだ。

函館より南下

関西から函館へ向かう。というのも、せっかくなので函館観光もしたかったのだ。青森まで直行便の飛行機で、という手もあるが・・・面白くないだろう?

函館よりフェリーに乗り、本州最北端の大間へ向かう。フェリーなので、時期や等級によって運賃が変動するのだが、だいたい3000円くらいだ。乗車時間は1時間30分ほど。

ちなみに、大間はマグロで有名だ。新鮮なマグロを楽しめるぞ。私は選択を間違って、ヅケ丼を食べてしまったのだが・・・。なお、できれば刺身と米は分けたほうが美味しくいただけると思う。刺身の敵は、温度であるからだ。

この大間からローカルバスに乗り、下北方面へと南下するのだ。これがだいたい2時間強ほど掛かり、運賃は2000円弱ほどである。小銭を用意しておくとよい。もし万札しかなかったら、最悪、バスを降りてすぐの観光協会で両替してもらうという手が有る・・・。(※経験者は語る。)

下北駅に着いたら、さらに恐山行きのバスに乗り換えることとなる。本数こそ少ないが、ありがたい話だ。乗車時間は40分ほどで、運賃1000円弱。

青森市内から北上

もしあなたが関東在住であれば、東北新幹線で青森まで向かってもいいだろう。それこそ、宮城や岩手なども立ち寄ることができる。

改めて、青森市内から北上する。この場合、電車を用いることになる。2時間、2000円ほど。

途中、JRから青い森鉄道へ乗り継ぐことになる。下北駅に着いてからは、同じく恐山行きのバスに乗車する。

のんびり旅を、したかったので

アクセスについてはこんな感じだ。私の場合、のんびりとした旅をしたかったので、(且つ函館や大間にも寄りたかったので、)南下プランを選んだ。

また、大間からのフェリーに車やバイクを積み込む、そんなこともできる。恐山には広い駐車場があるため、自家用車で向かうことも可能なのだ。

なお10月末〜4月の間は、恐山行きのバスが運行停止となる。冬季には、閉山するためである。つまり、入ることができない。閉山時期は毎年微妙にズレがあるため、要注意だ。

観光の際には、くれぐれも、この地が霊地であることを忘れずに。

三途の川。通行止である・・・。ここまで来れば、入り口まであと少しだ。

荘厳、そして寂寥の地

火山噴火で発生した、湖がある。賽の河原はご存知だろうか?
ここは水子供養の地でもあるのだ。

恐山内では、数々の地獄がある。この大地を踏みしめ歩むこと。踏まれることとは、苦しみであり、苦しみを受け入れる大地とは云々・・・という教えがあるのだ。

荒涼とした岩々が並ぶ
「危険」な理由、それは火山の影響だ。
曇天であるが、必ずしもそうではない。

水面は静かに語りかける

この湖では泳ぐことはできない。強酸性なのだ。
こんな環境の中、わずかに生物は生息している。

砂浜で腰を掛け、ふと、時を忘れる。安息の地故か、安らぎを覚えるようだった。

先の、東日本の震災供養塔もあり、鐘の音が響いていた。古くからこの下北半島には死者供養の民間信仰があり、恐山もその一つである・・・。

ただただ、湖畔でひと時を過ごした。

おまけ

恐山への道中、バスは「冷水」で途中停車する。
湧き水が出ているのだが・・・後方の立て札を注視すると、不老水の記載がわかる。

ちなみにここでは、わざわざ数分間停車してもらえるのが嬉しい。

名物?霊場アイス
私は残念ながら食べるタイミングがなかった。ぜひ、ご賞味いただきたい。「合掌」の二文字が印象的である・・・。

火山エリアのため、温泉も湧いている。ただし、お湯の性質上、長湯は禁物だ。
顔を洗うのもよくない。私は足湯だけにしておいた。タオル等は持参されたし。

ちなみに混浴もあるのだが・・・。何も言うまい。

参考文献
中公新書『山岳信仰 日本文化の根底を探る』
著:鈴木正崇


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