「名前の漢字」の意味を探る

「名前の漢字」の意味を探る

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★自分の名前の漢字…身近過ぎると意識しないもの?
突然ですが、皆さんは「自分の名前に使われている漢字」を意識したことはありますか?
小学生のとき、学校の宿題で名前由来を家族に訊いてきなさい…というものがありましたが、厳密に漢字の「意味」まで知っている方は少ないのではないでしょうか。

どうしてこんな話をしているかというと、今、私(=ツネザワシ)は世の中の人々の、「名前の漢字」に興味を持っています。いや、持ち出しました。
さらに言うと、世の中の人々に、漢字に興味を持ってもらうために身近な話題である、「名前の漢字」を題材に選択した、ということなのです。ちょっと、実のところを申し過ぎましたね(笑)

単純に、漢字の話をするのでは、なかなか興味というのは湧きにくいと思います。
それこそ、テレビの漢字クイズならまだしも、漢字を楽しく理解してもらうことは非常に難しいと感じます。
だって、みんな漢字の話題なんて普通しないでしょ?
…という本音もあります(笑)

ところが「名前」となると、意外と皆さん関心を持っているのです。
あなたの名前の漢字、それは〇〇という意味があるんですよ~というお話をすると、たいがいは、皆さん驚かれたり、いたく納得されていたり、とてもよい反応をしていただけます。
やはりそれだけ名前というのは重要なファクターなのですね。

★「ペンギン」という漢字!?
…ところで何故ペンギンなのか?
実は先日、漢字縁日のボランティアの際に、ペンギンの話があったのです。
たまたま、企画の一つである、漢字釣り(※魚釣りの要領で、漢字のしおりを釣っていただけるゲームです)をしていたお子様が、「ペンギンはいないの~?」と問いかけたのです。
※祇園四条にオープンした、漢字ミュージアムにて、夏季の間にお楽しみいただけます。
是非とも、お越しください!

単にそれは、ペンギンのしおりがないか、という趣旨の発言なのですが…
賢明な読者の皆様の察する通り、漢字釣りには、鯛・鰻・海月といった、漢字で表せる生き物しか、いなかったのです。

ただここで小話をすると、ペンギンを敢えて漢字で書くならば、「企鵝(キガ)」と書くことはできます。
さらに言うと、沖縄には「辺銀(ペンギン)」という名字の方がいます。
「えっ!?」と思わず声が出てしまいそうになりますが、どうやら中国の方が帰化された際の、名字のようです。最近はこちらの食堂が人気を博しているようで…
某オシャレ雑誌にも取り上げられていましたね。

★「名前」があるということ
名字にせよ、名前にせよ、名をつけるという行為には大変意味があります。
勿論、名を呼ぶということも、非常に奥深いことです。
言霊や、諱(=忌み名)といった概念があるぐらいですから、我々が名前に関心を持つというのも、何か古来よりの潜在的な意識が、あるのかもしれません。

名前の由来やルーツなど学習したい方には『日本人なら知っておきたい 名前の由来、名付けのいわれ』実業之日本社:大野敏明 がオススメです。

このあたりの話題は、また今度。
ペンギンの話もしたいですが、長くなるので、やっぱりまた別の機会で。
以上、名前の話でした。

漢字の歴史(2)甲骨文字とその後

漢字の歴史(2)甲骨文字とその後

こんにちは。ツネザワシです。
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今回は、前回の続きです。「甲骨文字とその後」を、シンプルにご紹介します。

甲骨文字の出現~前回の復習も兼ねて~

 殷の時代に甲骨文字が出現しました。紀元前1300年頃のことです。殷の後期にあたり、この時代以前に文字が使われていた可能性も十分にあります。ただし、発掘された資料というのが、この甲骨であり、甲骨文字がが現存する最古の文字資料にあたるのです。
 亀の甲羅や牛・馬の肩甲骨に文字を刻み、 炙ることで発生するヒビ割れをもとに占いを行いました。 甲骨文字の中には、象形文字という実際の物の形や様子をモチーフに してつくられた文字もあります。

金文の出現

 金文とは、青銅器に鋳込まれた文字です。青銅は、言葉は日本史や世界史などでよく聞きますよね。古くは銅のことを金と呼んだため、金文という訳なのです。

 余談ですが…
青銅とは、銅と錫(スズ)の合金です。銅は、金属の中でも珍しい、色のある金属でです。祭器や武器として、幅広く用いられました。錆びてしまっているため、どうしても「緑青」のイメージが強いですが、本来は黄銅…すなわち黄色だったそうです。
銅は加工性に優れ、また耐久性もあります。現在でも高級調理器具メーカーが銅の鍋などを売り出していますね。また、古代エジプトやヨーロッパでも、銅は用いられておりました。

 閑話休題。青銅器というのは、当時王が褒美として諸侯や重臣に与えるものでした。また戦いの勝利を記念し、後世への記録を残すためにも、金文は鋳込まれました。その字体は、甲骨文字よりも肉太に、そして装飾的です。ですから、金文の方がより「絵」に見えることもあるでしょう。

篆文については、また今度!

「申」の成り立ちを例に
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 画像は「申」の字の、甲骨文字、金文、篆文を並べたものです。申は、雷の象形であり、稲妻を表しています。雷は、神が発するものと考えられており、そこから「もうす」という意味に繋がったのですね。確かに、甲骨文字の申はグニャグニャと屈折しているものの、稲妻の形に見えなくもないですね。もちろん、甲骨文字の書き手もいろいろな人がいたのでしょうから、もっとカクカくとした字形で表現する人もいたことでしょう。

 「神」の字に「申」が使われているのも納得ですね。なお「しめすへん」は、その名の通り、「示」のことであり、神への儀式などを行う台を表しています。

ちなみに、雷がいわゆる「ジグザグ」している理由は科学的に解明されています。これは話すと長くなりますが、せっかくなので…雷は進みやすいルートを進んでは止まり、進んでは止まり…繰り返しながら進んでいきます。大変短い時間でそれを繰り返すので、ジグザグの形になるのです。雷の話も、また機会があれば。
 
この屈折した稲妻がもとになり、申という字には「のびる」という意味もできたのです。ですから「伸」や「紳」にも同じパーツや音があるのです。

 こういったように、意味を表す部分と、音を表す部分を持っている漢字を「形声文字」と言いますが、これはまた今度、詳しく…

 そうして、私たちが現在使っている漢字は、この甲骨文字や金文、篆文を経て、さらなる字形の変遷があり、ようやく「楷書」に落ち着くことになるのです。

参考文献・引用
『殷 中国史最後の王朝』落合淳思:中公新書
『常用字解』白川静:平凡社
『漢字源』藤堂明保:学研

【すぐに使える】「々」を入力するときの時短テクニック

々_

今回は、ちょっと便乗して「々」について。
日本漢字能力検定のサイトにて、こんな記事がありました。

www.kanken.or.jp

こちらでは「々」は踊り字だと紹介されています。
はい、そうです。「々」は漢字ではありません。
詳しいことは、上記のサイトを見ていただいて…。

私がお伝えしたいのは、ちょっと違う視点から。
では、この「々」ですが…
パソコンで入力するときにどのように入力していますか?
もしや「云々」と入力して、「云」を消している…そんなことはないでしょうか?

    ズバリ、オススメはパソコンの辞書登録機能で『ノマ』と登録してしまうことです。

実際に「々」は、『ノマ点』と呼ばれることもあります。

この辞書登録テクニックですが、Windowsでは右下の【あ】のところから、【単語の登録】を開くことで行うことができます。
わからない方は、IMEオプションで調べていただくとよいかも。

「々」に限らず、キーボード入力を行うことが多い皆さんは、様々な短縮ワードを登録をしておくと便利ですよ。

例えば、「()」を「k」一文字で。
「よろしくお願いいたします」を「よろ」で。
「/」このようなスラッシュは…「すら」。
「:」時間を書くときによく使うコレは、「じ」で。

案外、こういったものは盲点ではないでしょうか?

関西だけ!?「闇で」という表現を使いますか?

yami

「闇で」

アナタはこんな言葉の表現使いますか?
どういう意味、使い方をされているのでしょうか。

★実際の用例は?

会社の方と話していた際に耳にしたこの表現。
例を挙げると、『闇で遊んでるんでしょ?』
…というようなもの。

実は~、裏では~、というニュアンスを含むようです。
正直なところ、初めて聞いた際には思わず意味を尋ねてしまいました(笑)

★【心の闇】とはまた違うもの

最近では闇というと、【心の闇】に焦点が当てられているような気がします。
芸能情報、ネットの記事など、どちらかというとその人物の抱えるマイナス面、ネガティブな要素…をイメージしやすいですね。

上述の「闇で」という表現も、確かにどちらかというとネガティブなものに入るのかも知れません。
裏では悪いことやってるんでしょ?、実は●●なんでしょ?というように、悪いこと・後ろめたいことを、おもしろおかしく捉える表現に感じられます。

★いつから使われているのか?また地域は?

ところで、私は福井出身なのですが…この「闇で」という表現を地元で聞いたことはありませんでした。
また、大学時代を京都で過ごしたのですが、やはりその際も周囲で「闇で~」と使っていた人を見たことがありません。

関西で近年使われ出した表現なのかと思いきや、検索してみたところこんな記事が。
「やみで」
※1999年9月14日『よいこの今ドキ語』毎日新聞東京本社版朝刊17面:羽渕一代 

なんと、1999年には既に使われている表現でした!

2000年突入前とは…非常に歴史を感じます。
こちらの記事を見ると、確かに関西の若者言葉のようですね。

思えば、この表現を使っていかた会社の方は、僕よりも年上の方でした。
ある程度、年代も関係あるかも知れません。

★さらにSNSでも

他にも、mixiでもこんなものが。
ぇ、じゃぁ『闇で』って使いますか?

ここでは、2005年に僕と同様の疑問を感じている方がいらっしゃいますね。
回答を見ていると、中学生の頃使っていた、関西だけど知らない、関東でも使っていた、若い頃はよく使ったけど今は言わない、など様々な回答があります。
少なくとも、1995年頃の大阪では確実に使われているようです。

★90年代は何があった?

主に関西で使われていたようである、「闇で」という表現。
1990年代半ば、というのはポイントかもしれませんね。
この頃、何が流行っていた、起きたか調べてみました。

年代流行
※『年代流行』より

プレイステーション、 阪神淡路大震災、たまごっち…など、印象的なフレーズが並びます。
そんな中、「コギャル」というのはまさに若者の象徴ではないでしょうか。
小学生のとき、国語の教科書に「オニムカツク」といった若者言葉を扱った題材がありましたが、これはまさに時勢を反映したものでしょう。
流行を鑑みても、アムラー、スケーター、腰パン…というようなものが並んでいます。
若い人ならではかも知れませんね!

バブルがはじけた90年代。勢いのある若者たちの、ネガティブなことを乗り越えようとする気概を感じます。
ただ、僕は当時小学生だったので、90年代の雰囲気を肌でしっかりと覚えていないのが悔やまれます。

★若者絶頂の90年代を経て「闇で」は今もなお残る

結局のところ「闇で」は、どちらかというと、今の20代よりも当時90年代を色濃く経験した層が使っている表現なのかも知れません。
ただ、明らかに調査対象・サンプルが少なすぎるので…今後の言語調査などに期待ですね。
大学の社会学部で取り上げてもいいケースだと思います!

漢和辞典アレコレ 〜辞典によって何が違うのか〜

書店には漢和辞典がたくさん並んでいますが、一体何が違うと言うのでしょう。
知ってるようで意外と知らない、辞典の違いを紹介します。

*研究者が変われば、字の成り立ちも変わる

まず、多くの漢和辞典は『説文解字』という、中国の古い辞典をベースに作られています。
後漢の時代、許慎(キョシン)によって著され、数多の漢字が解説されています。

ただ説文解字が編集された頃は、まだ古い字形である甲骨文字が発見されていませんでした。
つまり、甲骨文字を基にした解釈が説文解字には載っていないのです。
また、研究者によって漢字の解釈も異なります。
そのため、世に出ている漢和辞典は、編者によって内容が異なっているのです。
勿論、共通の認識もありますし、『説文解字』がすべてではないことも確かです。

藤堂明保
学校の図書室に置かれていた『学研漢和大辞典』を覚えている方もいることでしょう。『広辞苑』のように、分厚い辞典なのです。
藤堂の基本的な考えは、「漢字の音と特定の意味の結びつき」というものです。そう、漢字の音を重視したのです。
文字は言葉を視覚的に訴えて表す道具に過ぎない、というのは、社会言語学の捉え方に近いかも知れませんね。
ここでポイントになるのが、藤堂の「単語家族」というアイデアです。
字の音と音同士が近ければ、共通の意味を持つ、というものです。なかなか日本語ではイメージが湧きにくいかも知れませんね。

例えば、「青」と、「晴」「清」「精」を見てみましょう。どれも「セイ」という音を持っています。(※あくまでもこれは、日本での音なので、中国本来の音は違うのです)
この「セイ」と言う音を持つこれらの字には、澄み切ったものという共通の意味があると捉えられます。この「セイ」という音と、ある特定の意味が結びつくのです。

加藤常賢
説文解字を基に編纂。ただ「民俗宗教」も解釈に導入しています。
例えば、古代中国の社会における「シャーマニズム」を例に挙げましょう。
シャーマンは、超自然的な力を扱い、また人智を超えた存在と交信できる存在でもありました。
古代の社会において、こういった能力を持ったシャーマンは「指導者」でもあったのです。
概して、シャーマンは背中の曲がった、柔弱な人でした。これは老人の特徴でもありますね。
…このような「シャーマニズム」解釈が随所に導入されているのです。

諸橋轍次
世界最大の辞典、『大漢和辞典』を編纂。大修館書店から他にも『広漢和辞典』『漢語林』等が出ています。鎌田正、米山寅太郎は、この諸橋轍次の流れを汲む訳です。
大漢和はやはり流石というべきもので、親字数は5万字、そして前15巻に及び、お値段も25万円という代物。その情報量の多さには目をみはるものがありますね。
古い辞書や文献から、データが掻き集められており、世界最大というのも頷けます。

白川静
近年人気の研究者であり、独特な文字解釈が取り入れらています。
『字統』『字通』『字訓』の三部作が有名ですが、より一般的なものでは『常用字解』が身近なものでしょう。

白川の考えの一つである「サイ」は「神への祝詞を入れる器」を示し、これが最大のポイントでもあります。
この「サイ」によって、新しい切り口の解釈が行われました。
それは今まで「口(くち)」だと考えられていたものを「サイ」として再検討したのです。
また古代の儀礼・呪術的事象を、数多くの資料から調べ上げ、字の成り立ちを説明しています。
ただ、白川の解釈に懐疑的な意見も多いのも確かです。
学会でも、藤堂派、加藤派、白川派…というように様々な派閥が存在しているぐらいなのですから。

私自身、この『白川文字学』は興味深いものと感じますし、児童の漢字学習の助けになるとも思います。やはり白川の考え方は、確かに「入り易いテーマ」だと思います。
※小ネタとしては、福井県の教育委員会が白川文字学を大きく取り上げています。
これは白川が福井出身ということもあるでしょう…。
地方紙である、福井新聞でも白川文字学が紹介されています。

*まだまだある、漢和辞典
紹介した研究者が全てではありません。勿論、日本ではなく、中国の研究者もいます。
そして、上記の辞典以外にも世の中にはまだまだ数多くの辞典があるのです。
旺文社、岩波、小学館…各社、ありとあらゆる辞典が書店を賑わせているのですね。
さらには、古い時代の辞典もあるのです。

例えば『康熙字典(コウキジテン)』。聞いたことがある方もいるかも知れませんね。
清の時代、「康熙帝」の命令によってまとめ上げられたものです。
上述の、説文解字よりも後にできたものにあたります。

*文字解釈は一つではない
漢字学習において、覚えておきたいこと、それは文字の解釈は一つではないということです。
近年ではテレビやインターネットで漢字の成り立ちをよく見聞きすることかと思いますが、実際のところ、その成り立ちの解釈が「誰」の解釈なのかは、同時に説明されないケースが多いように感じられます。

前述の通り、漢和辞典一つをとっても、多岐に及びます。
勿論、編者も説文解字を基にとはいえ、各々の解釈が及んでいるのです。
私たち漢字学習者は、広い視野を以て、取り組む必要があります。
ただ、その学習の中で、好きな研究者は出てくることでしょう。
また、使いやすい・読みやすい辞典というのも見つかることでしょう。

結局のところ、漢字は古いものですし、その「情報源」も同様に古いものなので、どうしても正解がわからない部分が大きいのです。
正解がわからないために、私たちが思い巡らすことも可能になっているのですね。
さて、まずは、楽しむところから始めましょう。

ツネザワシ

「挨拶」を掘り下げる

「挨拶って基本なんです。」

職場で資料を見ていたら・・・
『「挨拶」とは本来相手の心に云々』と書いてあり、アレ?と思う。
確か、相手を「うつ」ことじゃなかったか、と記憶してたので、調べる次第。

そしてまあ『新漢語林』をササーッと引いてみると、

「挨」①うつ ②おす ③せまる
「拶」①せまる ②ゆびかせ(指を責める刑具)をする ③せめる
とある。

では心云々は!? ソースは!? と思うのですが、
禅宗の僧の問答が云々という記述も、確かに後から出てきます。

これだけでは、どうも腑に落ちないので、白川先生の、『常用字解』も引きました。
「挨」に関しては『説文解字』がベースで、背をうつ、おす、ということのようです。

「拶」に関しては、別の解説も載っています。
人の首を切って~頭髪の残っている頭の骨を~手で拾う形~と。
ただ、古い字形がわからないので、元の意味はわからない。
ふむ、なるほど、わからん。

さらに「挨拶」について続く。
どうやら唐代以降の用法であるらしい。
「韓愈」の『辛卯(シンボウ)の年、雪ふる』の詩に、後ろからせまる、という意味に用いている。

指攻め、については記載はあるが、いつ頃だとか、何に載っていたか、とは詳しく書いておらず、よくわからないまま。
しかも、大勢の人が他人を押しのけて前に出ようと押し合う・・・意味に、いつの間にかフェードアウトしている。

ネットで調べると、確かに禅宗では~、禅問答では~、 など、解説がヒットしますが・・・
なんともモヤモヤするばかり。 はたして。